難病医療費助成制度
- 2025年5月9日
- その他
当院には、慢性的な病気と向き合い長期にわたる治療が必要となる患者さんもいらっしゃいます。そのような患者さんが、医療費の負担に不安を感じることなく、安心して治療を続けていくための公的な制度である「難病医療費助成制度」についてご案内させていただきます。特に、これからご自宅での療養(在宅医療)を考えていらっしゃる方にとっても、この制度は経済的な支えとなり得ますので、ぜひ知っておいていただきたいと思います。
「難病」とは、発病の原因が明らかでなくて、治療方法が確立しておらず、希少な疾病であって、長期にわたり療養が必要となるもののことを言います。この難病のうち、国内での患者数が少なく、客観的な診断基準が確立していることなどの要件を満たすものを国が指定しており、こちらを「指定難病」といいます。2025年4月1日現在で348疾患が指定難病として定められています。
指定難病と診断され、病状の程度が一定の基準を満たすと認定された患者さんに対して、医療費の自己負担分の一部または全部を助成する制度のことを「難病医療費助成制度」といいます。この制度を利用することで、医療費の自己負担割合が軽減されたり(3割負担の方は負担割合が2割になります)、1か月あたりの自己負担額に上限(所得に応じて異なります)が設けられたりするため、長期にわたる治療でも経済的な負担を大きく減らすことができます。認定されると「医療受給者証」が交付されますので、それを医療機関の窓口で提示することで医療費の助成が受けられます。この難病医療費助成制度は、医療機関や薬局での治療だけでなく、指定難病に対する訪問看護や訪問リハビリテーションなど、自宅での療養にかかる医療費も対象となる場合があります。そのため、指定難病をお持ちの患者さんが在宅医療を利用される際にも、この制度が経済的な面から大きな支えとなります。
この制度を利用するためには、患者さんご自身(またはご家族)による申請が必要です。まずはかかりつけの医師にご相談ください。指定難病の診断を受けているか、制度の対象となる病状であるかを確認します。申請にあたっては、難病指定医が作成した診断書(臨床調査個人票)が必要となるほか、申請書、住民票、健康保険証の写し、所得を証明する書類などのいくつかの書類が必要となります。必要書類を揃えたら、お住まいの市区町村などに申請します。難病医療費助成の認定審査は、「診断基準」と「重症度基準(症状の程度の基準)」の2つの基準をもとに行われます。しかし、診断基準は満たすものの、適切な治療によって症状が抑えられたり改善したりした結果、重症度基準を満たさない(軽症)という場合があります。このような場合においても、一定期間内において高額な医療費がかかっている方については、医療費助成の対象として認定される場合があります。申請手続きには少し時間がかかる場合がありますが、認定されると「医療受給者証」が交付されます。
難病医療費助成制度について、ご不明な点や申請に関する疑問がある場合は、お住まいの市区町村の難病担当窓口などにお問い合わせください。自治体のホームページでも詳しい情報が掲載されています。また、当院でも申請手続きの概要や在宅医療との関連などについて、可能な範囲で情報提供やサポートを行っていますので、お気軽にご相談ください。